日本大好き「とうさん」の 〝つぶやき″ & ときどき FX

【日本を知ろう】国體16 天壌無窮を支えたものⅣ 鎖国による平和

  • 2019年10月26日
  • 2019年10月31日
  • 國體
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キリスト教によるアジア侵略

前回、我が国が国體を如何に守ってきたかについて、元寇までを見てきました。
(前回未読の方はこちら

今回は白人キリスト教徒の侵略と秀吉の伴天連追放令、江戸幕府の鎖国政策についてみてみたいと思います。

15世紀から続く西欧キリスト教国によるアジアの侵略について簡単に見てみたいと思います。

まず、一神教の本来の教義というものを理解しておく必要があります。これは良い・悪いではないのです。そういうものなのです。

本来、一神教の教義は他の宗教を認めません。ですから改宗しない者や信徒を惑わす輩は抹殺してもよいことになっているようです(日本人から見ればすごく違和感がありますが、現在のイスラム過激派をみれば理解できるでしょう。現在はイスラム過激派だけが問題にされていますが、15世紀には、白人キリスト教徒が世界中で他の民族を虐殺しています。これが事実なのです。

詳しい記事はこちら↓↓↓
【日本人よ、前を向け】欧米列強の大罪|自虐史観から抜け出すために|全13話

例えば、聖書の『民数記』では、神が「異教徒(キリスト信徒を惑わす)は皆殺しにしろ、処女のみ分かち合え」と言うのです。しかも大聖者モーゼがそのまま絶対的な命令の様に信徒に伝えています。これでは異教徒を虐殺しなければ信仰心があるとは言えなくなります。

日本人から見れば違和感があると述べましたが、それもそのはず、古事記には対立・争いも描写されますが大虐殺なんていう話はありません。

古事記の神代記で多くのページを割いているのは「国譲り」の話であり、その真髄は話し合いでの物事の解決です。天津神が国津神に国を譲れとせまるという話です。

出雲で葦原中国(あしはらのなかつくに:日本のこと)を治めている大国主命(おおくにぬしのみこと)に高天原の神が国を譲れと使者を送ります。大国主命は二人の子供に相談し、一人は納得し、もう一人は力くらべをし、最終的には天にまで届く神社を建ててもらうことで国を譲ります。

このように日本の神話では敵対することがあっても基本的には話し合いで解決します。そして国譲りの話にも「力くらべ」をする場面がでてきます。これは戦争の暗示でしょう。しかし負けた方も諏訪の湖で降参し、命まで取られてはいません。

ひとこと断っておきますが、私はキリスト教が嫌いなわけではありません。別に好きでも嫌いでもありません。それを信ずる人たちがいても良いのです。それぞれの心の問題です。

実際、キリスト教のすべてが狂信的な布教をするわけではありません。例えばクエーカー教徒などは聖書は読むけどもそれぞれが感じたことを大切にするそうです。そうしてそれぞれが思い至ったことを話し合いながら瞑想と体験を分かち合うそうです。

武士道を書いたことで有名な新渡戸稲造博士もクエーカー教徒でした。このようにキリスト教でも穏やかな宗派もあります。しかし白人キリスト教徒が異教徒・有色人種に行った事実も「知る」べきものと考えます。

白人キリスト教徒の異教徒大虐殺は聖書によらずとも散見されます。例えば十字軍遠征です。1096年の第一回十字軍がエルサレムに入ると、騎士たちはユダヤ人やイスラム教徒のアラブ人など、異教徒を皆殺しにし、女性は強姦しました。一度十字軍がエルサレムを奪還しましたが、イスラムの英雄サラディンにすぐに滅ぼされてしまいます。エルサレムはユダヤ・キリスト・イスラムという三宗教の聖地ですからその後も争いが繰り返されます。

さらに、スペインによるアメリカ大陸の制圧については「黒い伝説」と呼ばれるものがあるそうです。これはスペインを貶める政治的プロパガンダだと言われる側面もありますが、起こった事実は事実として「知る」べきです。

スペインだけでなく当時の白人キリスト教徒は多かれ少なかれ現地民の虐殺・強姦・奴隷化・人身売買に手を染めています。キリスト教の布教という命題を掲げ、それに従わぬ者たちは人間扱いしませんでした。大航海時代の負の側面です。

「黒い伝説」では、インカ帝国、マヤ帝国、アステカ帝国は、スペイン人の植民地政策による虐殺や疫病(ヨーロッパからもたらされた新たな流行性感染症)により人口が激減し、例えば最大で1600万人が存在していたインカ帝国は108万人に減少、アステカ帝国では、征服前の1100万人とされた原住民人口が1600年の調査では100万人程度に減少していた、とされています。

伴天連追放令の真相

1500年後半から1600年代と言えば日本では戦国時代から江戸時代初期です。日本ではどうだったのでしょうか。秀吉は1587年、伴天連(キリスト教宣教師)追放令を出します。なぜでしょう。ルイス・フロイスの文献によると、

~~秀吉は7月24日に怒り狂い、夜にイエズス会の日本準管区長のガスパル・コエリョに対し使いを出して、次の様な太閤の言葉を伝えさせている。「その第一は、汝らは何ゆえに日本の地において、…(扇動的布教活動を行うことに対する詰問が続く)…もし、それが不服ならば、汝らは全員シナ(マカオ)へ帰還せよ。…」 「第二の伝言は、汝らは何ゆえに馬や牛を食べるのか。…(馬や牛は人を助ける生き物なので食べるなとの内容)…」『第三は、予は商用のために当地方(九州)に渡来するポルトガル人、シャム人、カンボジア人らが、多数の日本人を購入し、彼らからその祖国、両親、子供、友人を剥奪し、奴隷として彼らの諸国へ連行していることも知っている。それらは許すべからざる行為である。よって、汝、伴天連は、現在までにインド、その他遠隔の地に売られていったすべての日本人をふたたび日本に連れ戻すように取り計られよ。もしそれが遠隔の地のゆえに不可能であるならば、少なくとも現在ポルトガル人らが購入している人々を放免せよ。予はそれに費やした銀子を支払うであろう。』(ルイス・フロイス「日本史4」中公文庫p.207-208)

このようなやり取りののち、太閤の第三の問いに対するイエズス会準管区長のコエリョの回答を要約すると「自分たちは人身売買や奴隷売買を廃止させようと努力している。しかし来航する外国船に奴隷を積み込んでいるのはキリシタン大名がそれを禁止しないからだ」との返答であり、さらに太閤を激怒させます。

そしてさらに「キリシタンは、いかなる理由に基づき、神や仏の寺院破壊し、その像を焼き、その他これに類した冒涜を働くのか」との伝言を持たせて、再びコエリョに使者を送ります。

コエリョの回答は「キリシタンたちは、我らの教えを聞き、真理を知り、新たに信ずるキリシタンの教え以外には救いがないことを悟った。そして彼らは、…神も仏も、またそれらを安置してある寺院も何ら役に立たぬことを知った。彼らは、…神仏は自分たちの救済にも現世の利益にも役立たぬので、自ら決断し、それら神仏の像を時として破壊したり毀滅したのである。」 (同書p.215)  

そのコエリョの回答を聞いて、太閤がさらに激怒したことは当然である。 秀吉は「予は日本のいかなる地にも汝らが留まることを欲しない。ここ二十日以内に、日本中に分散している者どもを集合せしめ、日本の全諸国より退去せよ」と命じ、「伴天連追放令」と呼ばれる布告を司令官ドミンゴス・モンテイロに手交したのである~~

この日本人奴隷に関しては天正遣欧少年使節(てんしょうけんおうしょうねんしせつ)がローマへ派遣された際の会話録にも残されており、事実であったようです。

このようなことを知り、秀吉は伴天連追放令を出します。しかし南蛮貿易はそのままに、キリスト教の布教のみ禁じたものでした。実質的には宣教師たちは活動できましたが、独善的・排他的・破壊的布教は禁じられました。

しかし秀吉や家康はキリスト教徒が最初は布教で宗教を広めていくがいずれは軍事侵略をすることを知っていました。そうした中、白人キリスト教徒が異教徒を大虐殺している情報が次第に詳細に幕府のもとに届くようになり、徳川幕府は鎖国政策へとシフトしていきます。

三代将軍家光によって鎖国が完成しますが、家光がキリスト教の脅威を痛感させられたのは「島原の乱」でした。4万弱の農民の反乱に対し、幕府軍12万。しかし鎮圧に4ヶ月かかっています。これは反乱軍側が幕府と同等かそれ以上の武器を有し、軍事力が強大であったからにほかなりません。

さらに問題であったのは8つの村の住民が同調して『寺社を焼き、僧侶を殺害』し、また『キリシタンにならない村民の家を放火』したことです。佐野弥七衛門覚書などの記録によると『信仰の取り締まりに赴いた代官の林平左衛門を切り捨てた後、村々へ廻状を廻し、代官や出家・社人(下級神官)らをことごとく打ち殺すよう伝達したため、僧侶・下級神官や「行きがかりの旅人」までが殺された』ことや『デウス様が異教徒を殺害せよと聖書で述べている』といった農民の言辞まであったといいます。

鎖国政策の光と影

このように日本は全世界で繰り広げられていた白人キリスト教徒による侵略から日本を守るため“鎖国”政策を進めました(本来は鎖国ではなく異人渡来の制限・キリスト教布教の制限です。出島では交易は行われていましたので)。

それは非常にうまくいき、日本は260年もの長きに渡り平和な江戸時代を満喫します。しかし、その鎖国政策のため日本の技術力(=軍事力)は次第に低下していきます。戦国時代までは日本の技術力(=軍事力)は世界有数のものでした。(新しいものを取り入れ改良を加えさらに良いものにしていくという日本の文化的側面も手伝い、戦国時代は鉄砲の数から集団戦術に至るまで西欧諸国より進んでいたと言っても過言ではありません)

そしてついに西欧列強の侵略の牙がまたしても日本を狙うこととなります。いわいる「黒船」に代表される軍艦による開国の脅しです。これについては次回にゆずります。

次回、【日本を知ろう】国體17 天壌無窮を支えたものⅥ 鎖国~日露戦争

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