先日、習近平の国賓待遇訪日に苦言を呈した北野幸伯氏の論考を紹介した。ここにきてさらに北野氏が習近平の国賓待遇訪日に4つの理由を挙げ反対している。理由をダイヤモンドオンラインに寄稿した。記事詳細はこちら⇒【習近平の国賓訪日を中止すべき4つの理由、魂胆は「天皇の政治利用」】。要点をまとめる。
反対する4つの理由
1.中国への過度の接近は同盟国アメリカとの関係を破壊すること
2.「ウイグル問題」などで明らかなように超人権侵害国家であること
3.「香港問題」民主化デモを武力で弾圧する国家であること
4.天皇陛下を「政治利用」しようとしていること
1~3について簡単に理由を述べよう。
1について、米中は「覇権戦争」に突入しているという認識がまず必要。アメリカは昔から旗幟をはっきりするよう求めている。日本はアメリカの味方なのかどうか。習近平を国賓として呼ぶということは、Chinaと仲良くしようとしていると捉えられても仕方あるまい。こうなるとアメリカとの関係は破綻する。
2について、アメリカは米中覇権戦争に舵を切り、Chinaを悪魔化するためのカードとしてChina共産党による人権弾圧に声を挙げた。国連も声明を発表するなど全世界にChinaの悪行が知れ渡りつつある。そのような中、主席を国賓待遇で招くなど、日本は人権侵害を認めているとのメッセージと受け止められかねない。
3について、香港の民主化デモに対し、China共産党は武力弾圧に移行しつつある。2019.11月上旬、実際に若者二人が死亡するに至っている。このような時に天皇陛下が「民主化デモを武力で弾圧する国のトップ」と会談する。国際社会がこれをどう受け取るか、熟考するべき。
4について、Chinaは天皇陛下を政治利用した前科を持つ。1万人以上自国民を虐殺した天安門事件。これにより世界から村八分にされたChinaは日本にすり寄った。
そして、天安門から3年後の1992年10月、天皇皇后両陛下の訪中にこぎつける。天皇陛下は世界一尊敬されている存在。その方が訪中するという事実。これを見た欧米諸国は、「日本は、中国市場を独占するつもりではないか」と焦りを感じるようになる。そして世界は我も我もとChinaへの制裁を解除し、貿易の実利を取った。
現在、米中の貿易戦争によりChinaは疲弊している。今回も世界との摩擦の突破口に天皇陛下への謁見を望んでいるのは明らかだ・・・。
歴史をもう一度振り返る。
・1989年、中国は天安門事件で国際的に孤立した。
・中国は、ナイーブな日本政府に接近する。
・1992年、天皇皇后両陛下(当時)が訪中された。
・日本が中国市場を独占することを恐れた欧米は態度を軟化。中国の「天皇利用作戦」は成功した。
・天皇陛下を利用して包囲網を突破した中国は、「日本悪魔化工作」を開始。
・日本は、米中「共通の敵」にされてしまい、日米関係は悪化。
・逆に米中関係は、大いに改善された。
ナイーブな政府が日本を滅ぼす。
今回の世界状況は当時と似ている。香港問題、ウイグル・チベット問題でChina共産党が人権弾圧組織であることが暴露された。Chinaは世界から孤立しつつある。日本の天皇陛下と謁見したいという願望は習近平の中でかなり肥大化しているのだ。これにより、日米に楔を打ち込み、世界の批判も和らげることができるのではないか。
利用されていることがわからないようでは政治家たる資質に欠ける。ここでChinaを助けたとしても彼らは日本に恩義を感じることは皆無である。それは歴史が証明している・・・。
安倍総理、頼むから親中派議員の圧力に負けることなく、習近平の訪日を中止してくれることを強く望む!