原作と映画と・・・
原作も読み、映画も観、感じたことを。
ネタバレ注意!!
空母いぶき、とうさんも佐藤浩市氏の発言で一言書いた(未読の方はこちら)
とうさん、潰瘍性大腸炎患者だからね・・・
安倍さんを揶揄してるなら許せんと・・・
垂水総理
原作での垂水総理(佐藤浩市氏が演じている)は決断力・統率力に優れ、国民と国土を護るために毅然と戦う、しかし相手側の人命にも思いを巡らすことのできる、最高のリーダーとして描かれている。
秋津艦長(空母いぶき艦長:西島秀俊)をして
「垂水慶一郎は信頼すべき政治家だな」
と、作中で言わしめている(空母いぶき第7巻49ページ)
映画での垂水総理はかなり頼りない・・・。
ま、現在の日本人では他国の侵略に対しても防衛活動で相手国に死者を出すことを躊躇するのもわからないでもない。平和ボケしてるから・・・
現代日本人をリアルに演じていると捉えれば佐藤浩市氏は役者だ。
トイレの個室から出てくるという設定も、事前に馬鹿なインタビュー回答がなければ全く気にするようなものでもなかった。
ただ、日本の平和ボケは深刻だ・・・
国土や国民を守るには、戦力・経済力を必要に応じて行使できる強い覚悟が必要なのだが。
映画について
映画では実力行使について秋津艦長と新浪副長(佐々木蔵之介)が対立する場面がかなりあった。原作では新浪副長は心で疑問を生じながらも艦長の指示に従う。
当然だ、国の命運を左右する作戦行動中なのだ。指揮命令系統に異論を挟むなどありえないのではないか。通常の経済活動なら皆で話し合って、という選択もあろう。ここにも現代日本人が抱える問題がある。
70年間危機から遠ざかり、国があることが当たり前と思い、それをこそ護らねばならないものとの意識が希薄なのだ・・・
それにも増して、とうさんが堪忍ならんのはラスト。
映画だから結末まで観せないといけないのだろう。原作では支那軍の占領から数日経っても解決していないが、映画では1日で解決する・・・
ありえない結末・・・
一日で解決することにも驚くが、解決のしかたが・・・
妄想以外の何物でもない・・・現代日本人の闇、ここに極まれりだ。
なんと戦闘中の空母同士の間に国連軍の潜水艦が割って入ってくる・・・
そして、国籍不明の占領軍が撤退する・・・
国連軍の派遣など一日で決まるものか!映画だとしても設定としてありえないだろう!!
そもそも国連では大国の利害関係が一致しないため、拒否権を行使することがほとんどだ。
国連は世界平和を希求する素晴らしい組織・・・
という平和ボケした考えを日本に浸透させようと暗躍する勢力がいる限りこのようなプロパガンダが絶えることはないだろう。
この映画を観た多くの人に「やっぱ、国連って救世主じゃね」などという幻想を抱かせることを目的としているのだ。
国連は各国の利権争いの場だ。それぞれが自国の利益を主張し、他国の利益など考えはしない。それが国際常識だ。日本人はナイーブすぎる・・・
理想を妄想するのは勝手だが、現実を知り、国益を護ることがこそが現実問題として求められる。
原作が掲げる深いテーマ
原作では
・現在の尖閣をめぐる問題
・支那の軍事力増大
・日本の自衛力
・決断できる政治家の有無
・国土防衛と犠牲と国民のしあわせと
等々、この物語を描くことで、現在の日本に潜む諸問題に光をあて、再考を促すことを意識しているように感じる。
原作同様、支那軍が尖閣に上陸したとき、現在の日本では何も対応できないのではないか・・・
考えさせられる原作及び映画であった。