前回の復習
初等科国史は「天壌無窮の神勅」から始まる。そして歴代天皇が明記されている。日本の国史を語るため、戦前は明らかに「皇室」特に「天皇陛下」を中心として、歴史に虹を見せようとしていた。前回未読の方は【こちら】
なぜ日本だけが神話と続く「皇室」が脈々と受け継がれているのか。それは地政学的側面が大いに関係していると述べた。どういうことだろう。
古事記が示す世界観
古事記は天地開闢(てんちかいびゃく)から始まる。天地は境が無く混沌としていた。そして清浄なものは天として、重く濁ったものは地となる。そこへ葦の芽のような「神」が現れる。
まず五柱の「別天津神(ことあまつかみ)」が現れ、次に「神世七代(かみよのななよ)」と呼ばれる神々が現れる。そして神世七代の最後にお生まれになった夫婦神、伊弉諾尊(いざなきのみこと)と伊弉冉尊(いざなみのみこと)が大八洲(おおやしま)、つまり日本を御産みになるのだ。
日本として御産みになられたのが、大八洲。要するに日本を「島国」として認識していたということだ。古事記は各地の伝承を集め、統一したもの。ということは日本が「島国」としての形となってからの伝承ということになる。
先の考古学的考証によれば、日本が日本としての形を成したのが2万年前。そして稲作が行われていたのは1万4千年前からということなので、古事記の示す神代は1万年~数千年前のことである可能性が高い。
地政学的利点
日本は四方を海に囲まれている。このことは外敵の侵入を防ぐという意味において大いに役立つ。2万年前から島国であった日本は、大陸文化とは違う独特の文化的価値観を有してきた。
大陸の文化・・・それは略奪の文化と言ってもよい。ヨーロッパなどは日本と比べ緯度も高く概して寒い。そこでは、自然の恵みなどと待っているだけでは生きていけない現実があった。生きるためには「奪う」・・・動物の命も、他者の食料も。
そして強者は移動しながら奪いつくす。弱者に安住の地などなかったのだ・・・
しかし日本は温暖湿潤気候に加え、豊富な海の幸もある。古事記にも海の神様が描かれており、なんでも釣れる釣り針をお持ちであった。
そして島国であるということは、外敵の侵入も防ぐことができた。
こうして日本では安住の地を得ることができた。他者に奪われない文化、明日に希望が持てる文化を形成した。そして人を信頼する文化、皆で話し合って物事を決める「和」の文化を育んだ。
ただ、平和な時代が長く続くことにより「危機」を敏感に感じる能力は低下していく。本当に追い込まれねば立ち上がれないという悪癖は、日本人の遺伝子に組み込まれているのだ・・・これは意識して変えていく必要がある。
日本人
では、「日本人」とは何だろう。とうさんは「大和魂」を持ち、日本を愛する心を持った人を「日本人」と呼びたい。これは学術的定義ではなく、とうさんがそう考えている、ということだ。
日本人は「和」を尊び、他者を信頼する文化を持っている。これは世界に誇れることなのだが、世界に通用するものでないことは理解しておく必要がある。
日本人は「危機」を感じ取る能力に乏しい。平和になれるとすぐ「なんとかなるさ」と考えがちなのだ。現在、令和元年12月31日、日本の舵取りを誤れば日本は沈没していく危機にある。
とうさんは「日本人」として生まれてきたことを誇りに思う。君達のじいちゃんも本当に頑張り、世界に誇れる経済大国を作り上げた。君達のひいじいちゃんは世界の人種差別と闘い、戦争には負けたが差別をなくしたいという強い思いは結実した。
子供達よ、申し訳ない。とうさんたちの世代は日本を強くできなかった・・・
真の意味で独立した国となるにはまだまだ時間がかかりそうだ・・・