戦前の教科書
「初等科国史」が令和元年、三浦小太郎氏の手によって復刻された。とうさんすぐ購入!
1ページ目には「天壌無窮の神勅」が載せられている。現代人は天壌無窮の神勅と言われてもほとんどの人が知らないだろう。日本書紀に書かれている三大神勅の一つ。戦前は日本の国史が記紀(古事記・日本書紀)を大切にしていたことを如実に物語っている。
記紀を大切にする日本の良き伝統とは何だろう。それは日本が「天皇」を戴く、世界にも稀有な国ということ。良き日本を創り上げようと努力を続け、連綿と現在に受け継がれている日本の心だ。「大和魂」と言い換えてもよい。大和魂といえばとうさんは
敷島の大和心を人問わば 朝日に匂う山櫻花
という宣長の句を思い出す。
天壌無窮の神勅
「豊葦原(とよあしはら)の千五百秋(ちいほあき)の瑞穂の国は、これ吾(あ)が子孫(うみのこ)の王(きみ)たるべき地(くに)なり。宜しく爾(いまし)皇孫(すめみま)就(ゆ)きて治(しら)せ。さきくませ。宝祚(あまつひつぎ)の隆(さか)えまさむこと、まさに天壌(あめつち)と窮(きわま)りなかるべし」
これは、天照大神(あまてらすおおみかみ)が天孫降臨の際、御孫、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に授けられた言葉である。意味を要訳すると
「日本は、私の血を引く皇孫が治める国です。皇室の栄えることは天地が永遠に続くことである」
初等科国史では「天壌無窮の神勅」の次のページに歴代天皇の表が掲載されている。日本では天壌無窮の神勅通り、現在も皇室があり、126代、今上陛下まで脈々と神武天皇の系譜が続いている。これこそ日本を象徴する「奇跡」なのである。そして戦前はこのことを国民全員が誇りに思っていた。
なぜ日本だけ?
ギリシャ神話を見てみよう。ギリシャ神話の神々も土地の王家と交わり、子孫を残したとされている。それは英雄とされ、王家を継いだ。では、神の系譜を持つ王家は現代に続いているのか?いや、続いている王家は皆無である。
なぜ日本だけ神の系譜が続いているのか。それは日本の地政学的側面が大いに影響を与えている。
日本列島
今から3000万年前には日本はユーラシア大陸東岸に位置しており、完全に地続きであった。2500万年前から徐々に移動し始め、1000万年前には日本の原型が出来上がる(まだ陸地と繋がっているところも多い)。500万年前頃に日本海が拡大し、ユーラシア大陸と分離した。そして2万年前頃にはほぼ現在に近い地形となったようだ。
ホモ・サピエンス
20万年~10万年前にアフリカで進化したのが、現代人類に繋がるホモ・サピエンス。日本には12万年前には人が住んでいた(砂原遺跡)ことが確認されている。
縄文時代が紀元前1万4千年~紀元前1000年頃、この頃には稲作が行われていたことが確認されている。そして弥生時代が紀元前1000年~300年くらいとされる。
温暖湿潤
日本は温暖湿潤気候とされている。豊かな水と温暖な気候により、農業に向いている。また、海洋学的に言えば暖流と寒流が交わる位置にあり、海からの幸にも恵まれている。
地政学的側面
この地政学的側面が日本の特徴と大きな関係がある。どんな関係か。それは次回に譲る。